IMG_4947

「forme」を「forme」とするまでに考えたこと。ヨーロッパ各国で観たオーケストラの公演やオペラの公演。この体験があったからこそ「forme」で感動を伝えたいと思いました。

 

オペラが身近な存在?なんてあり得る?

19世紀クラシック音楽の聴き方は「聴衆と演奏家」という高い壁に遮られることになっていきました。もちろん現在の歌劇場も立派な舞台があり、さまざまな趣向をこらし演出がされています。でも、その歌劇場で聴く音楽は特別ではあるけど、生活の一部的、私達にとって近い関係を感じられるものでした。

人が集う、人が奏でる、人が想う。そこには音楽があります。

ここにひとつの空 間の定義が成立します。その空間には説明のつかない意義が存在します。科学 的に解明することのできない、人間の深層心理の琴線に触れる得体の知れない シロモノ。この空間演出に、私達は歴史を通じて特別の思いを込めてきま した。

例えば、大聖堂の厳粛な空間に響くミサ曲。そこに列席する者の真摯な 祈りには、パイプオルガンと合唱音楽の荘厳な響きが相まって、どこまでもその場に居合わせる人々の心に特別な意味がもたらされます。音楽によってもたらされるこの特別な空間認識は、いったい人間にとって何を意味するので しょうか。

ドイツには、どんなに小さな町にも「教会と歌劇場」が存在してきました。 教会は宗教、劇場は演劇、舞踏、そして歌劇です。これらの空間に共通して存 在したのが「音楽」でした。人が人たる哲学を示した宗教、人が人の精神を豊 かに演出したエンターテイメント。この両者に「音楽」が重要な役割を担って きたということです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

優雅だけど生活感もある劇場の休憩時間

歌劇場での一コマ。ほとんどの演目に幕間の休憩時間(Pause)があります。 歌劇場によって設定時間が違い、15 分から 20 分の休憩ですが、ここに実は大きなドラマが展開します。人々はホワイエに集い、シャンパングラスを片手に、 視覚的にも楽しめるような一口サイズのカナッペを片手に、演目の内容や演出、歌手たちの出来栄えについて語り合い、お互いの知人同士を紹介し、あるいは偶然居 合わせた知人友人達と語り合う。たった 20 分の休憩、されどその 20 分は、大 理石の装飾に施された劇場空間の「オペラ」という作品鑑賞の最中の休憩時間。 女性はちょっと普段とは違ったオシャレを楽しみ、男性もビジネスシーンとは かけ離れた盛装。それは、そこに居合わせる全ての人々が「特別な空間」に存 在することになります。恋人同士は心を寄せ合い、夫婦はその幸福を実感し、 友人知人同士はその関係をさらに深めることになります。そこで紹介された知 人との関係は、おそらくその後も特別な関係に発展するでしょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

10代の初めてのデートがオペラ?

そしてヨーロッパのほとんどの国の思春期にさしかかった若者たちが、一番 最初のデートの誘いにオペラを選ぶと長年言われてきたことからも伺えます。実際に、ティーンエージャーがグループデート?で来ていました。ちょっと恥ずかしげに・・・。若いころのデートでオペラに行く!なんて素敵なんでしょう。

 

〜歌劇場で聴く音楽は特別ではあるけど、生活の一部的、私達にとって近い関係〜「音楽空間に集う人々の高揚感」それを日々の生活のなかに取り入れられるほど身近であること、歌劇場文化とは言わない歌劇場生活感これこそが人々を納得させ、エンターテイメントにおける人の精神的充足感を高めていると感じるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Comment are closed.