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Tonal Harmonyの水上寿美江です。音楽を『手に届く世界観』としてお伝えしています。

私が歌(コーラス)を習いはじめて数ヶ月。歌には歌詞があり、その表現方法と呼吸法を学ぶことはさまざまな身体的訓練につながる有意義な時間です。メロディに言葉をのせるって本当に難しい…言葉の持つ性格を音で表現していくような感じ。美しい言葉、悲しい言葉など。会話でも言葉の選び方を間違え、大切な人に自分の想いと違う想いを伝えてしまうようことがあるように、歌い方で自分の意図しない表現になってしまったり…本当に難しい表現方法だと思います。

メロディに歌詞(言葉)を寄り添わせるプロである作詞家のお仕事の難しさも…作詞家の美しい言葉の表現に尊敬の気持ちを持たずにいられません。歌を通じて言葉の大切さや美しさを考える日々です。

今日は、私が習うコーラスの会でご一緒させて頂いている作詞家 吉元由美さんの著書から、時間と言葉についてお話をさせていただきます。

吉元由美さんは、平原綾香さんが歌った「Jupiter」の作詞家です。

由美さんが書かれた『こころ歳時記』は、四季のある美しいこの日本に生きる幸せを、日本古来の行事を通して知ることであらためて味わうことのできる著書です。

日本の美しい世界観が集約されています。

由美さんは、自然に生かされている人間の祈りや自然からの学びの知恵は、現在生きる私達に行事として、祭りごととして伝えられてきており、今ではイベント的になっている「お正月」「節分」「ひな祭り」などの深い意味を知ることで『神事』であることを知ることができると、とても美しい言葉で綴られています。

 

「私たちはふたつの時間を生きていると言います。ひとつは、生まれてから死ぬまでの直線的な時間。そしてもうひとつは、春夏秋冬と毎年繰り返されるサイクルの時間です。直線的な時間とサイクルの時間。私達はサイクルの時間の中で、直線的な時間を生きているのです。そしてもうひとつ言うなら、直線的な時間を終えた私たちの魂は、直線もサイクルも超えた永遠という時間の中で生き続けるのかもしれません(『こころ歳時記』まえがきより)」

 

由美さんは、時の流れとともに日本古来より伝わる『神事』には、祈りがありその都度生かされている命を喜ぶことでもあり、日本を大切にし、日本語を大切にすることは、私たちのなかに流れている、忘れていた豊かさを取り戻すことでもあるのだと。

この美しき日本古来の行事と暮らしを綴った著書。この本を読んでから美しい日本に生きる幸せを感じずにはいられません。

先日、北原 照久氏&吉元由美さんのトークセッションにおじゃましました。その時、由美さんがコーラスをはじめた理由のひとつを話してくださっていました。

「人は言葉によって潰されることがあるの。私は小学生のころ音楽のテストで一緒に歌った少年の声が本当に素晴らしく圧倒されて歌を歌うことができなかったのね。そのときの先生に理由も聞かれず怒られて…それ以来、絶対に人前で歌は歌わないと心に決めてしまったの。でも、今になって歌を習い始めて本当に楽しい。今、自分が発している声は自分の声じゃない、自分の耳で聴いている自分の声は本当の声じゃない。レッスンを受けて私は自分の本当の声を聴きたいの。」

(え?!耳で聴く自分の声が自分の声じゃないことは…何となく…でも!自分が発している声が自分の声じゃない?!次回のブログではこのあたりのお話もしていきたいと思います。)

由美さんが綴る美しい言葉『こころ歳時記』何度も読みたくなる言葉の数々です。

 

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